
不動産投資を法人化するメリット・デメリット|最適な戦略を選ぶ判断基準
- 法人化を検討するひとつの目安は、個人の課税所得が900万円以上
- 法人化のメリットは、税率の抑制による手残りの増加と、将来的な融資の選択肢の拡大
- デメリットは、設立時の初期費用や毎年の維持コストの負担
いつもお世話になっております。日本不動産投資パートナーズです☆
不動産投資における法人化について解説させていただきます。
家賃収入が増えてきて「最近、税金が高くなってきた」と感じたり、「将来的に投資を拡大していきたい」と考えたりすると、法人化によるステップアップを検討する方も多くいらっしゃいます。
本記事では、不動産投資を法人化して行う際の判断基準や、法人化のメリット・デメリットについてご紹介いたします。
不動産投資を
法人化する基準は?
法人化には設立費用や継続的な維持費がかかります。そのため、「法人化して損をしないだろうか」と悩まれる投資家の方は多くいらっしゃいます。
判断の基準となる具体的な基準は、主に「課税所得が900万円以上」であることです。
個人の課税所得が900万円を超えたとき
個人の所得税は、所得が増えるほど税率が上がる「累進課税」です。
所得が900万円を超えると、所得税と住民税を合わせた税率は43%となります。695万円〜900万円以下の税率が33%のため、10%も跳ね上がるのです。
一方、法人の実効税率(実際に負担する税率)は約20~30%台となります。
つまり、課税所得900万円を超えたあたりで個人と法人の税率が「逆転」し、法人の方が税負担を軽くできる可能性が高くなります。
| 個人の課税所得区分 | 個人(所得税+住民税) | 法人の実行税率 |
|---|---|---|
| 330万〜695万円未満 | 30% | 約22%〜 |
| 695万〜900万円未満 | 33% | 約22%〜23% |
| 900万〜1,800万円未満 | 43% | 約23%〜34% |
| 1,800万〜4,000万円未満 | 50% | 約34%前後 |
※法人の事項税率:法人税・地方法人税・法人住民税・法人事業税・特別法人事業税を合算し、利益に対して実際に負担するトータルの税率の目安です。
※法人事業税・特別法人事業税は、支払った翌年に会社の経費として計上することができます。
※実際の税率は、法人の所在地や資本金などにより変動します。
不動産投資を法人化する
5つのメリット
法人化には、節税に留まらない複数のメリットがあります。主なメリットは以下の5つです。
- 税率の上限が低く、手残りのキャッシュが増える
- 経費として認められる範囲が広がる
- 赤字(欠損金)を最長10年間繰り越せる
- スムーズな相続対策・事業継承ができる
- 金融機関からの信用力が上がり、融資の幅が広がる
特に投資規模を拡大し、一棟アパートやマンションの取得を目指す方にとって、メリットが大きくなります。
1. 税率の上限が低く、手残りのキャッシュが増える
個人の所得税は稼ぐほど税率が上がり、最大で約55%(住民税含む)に達します。
一方、先述しましたが、法人の実効税率は約20〜30%台でほぼ一定です。
収益が大きくなるほど、法人の方が税負担を抑えられ、手元に残る現金(キャッシュフロー)を厚くすることができます。
2. 経費として認められる範囲が広がる
法人では、個人事業主では認められにくい項目を経費に含めることが可能になり、より柔軟な節税対策が打てるようになります。
家族への役員報酬
ご家族に給与を支払うことで所得を分散し、世帯全体の税負担を軽くできます。
退職金の準備
将来の退職金を見越した積み立てが経費として認められます。
生命保険料の計上
経営者の万が一の事態に備える生命保険に加入した場合、条件を満たせば支払った保険料の一部または全額を法人の経費(損金)として計上できます。
ただし、近年の税制改正によりルールが厳格化されており、かつてのような「全額経費にして大きく節税する」といった手法は難しくなっています。
単なる節税目的ではなく、あくまで「借入返済のリスクヘッジ」や「将来の退職金準備」など、本来の事業保障として活用することが健全な法人経営のポイントです。
3. 赤字(欠損金)を最長10年間繰り越せる
大規模修繕などで大きな赤字が出た場合、翌年以降の利益と相殺して税金を抑えることができます。
個人の場合は最長3年間しか繰り越せませんが、法人の場合は最長10年間にわたって繰り越すことが可能です。%台でほぼ一定です。
長期的な視点で修繕リスクに備え、安定した経営を目指せます。
4. スムーズな相続対策・事業継承ができる
個人所有の不動産を相続する場合、不動産そのものを物理的に分割するのは困難です。そのため、相続時のトラブルの種になることも。
法人の場合は不動産ではなく「会社の株式(出資持分)」として相続・贈与を行うため、資産を細分化して分けやすく、将来のトラブル防止になるのです。
5. 金融機関からの信用力が上がり、融資の
幅が広がる
規模拡大を目指す投資家の方にとって、これが大きなメリットです。
個人の場合は年収などの「属性」で借入の限界が来ますが、法人の場合は「事業としての実績」が評価されるようになります。
法人としてしっかり黒字の実績を積むことで、将来的に個人の枠を超えた融資の選択肢が広がり、高額な一棟物件への投資も現実的になります。
規模拡大を目指すなら
法人として融資を受け、効率よく資産を増やすためには、収益性の高い物件選びが鍵となります。そこで、おすすめのエリアが大阪を中心とする関西圏です。
物件価格が高騰している東京首都圏と比較して、利回りが安定しており、キャッシュフローを出しやすいと言えます。
大阪万博以降の再開発も控え、長期的な資産価値の維持が期待できるでしょう。
後悔しないために把握したい
法人化の4つのデメリット
メリットの多い法人化ですが、当然ながら「コスト」や「手間」といったデメリットも存在します。後悔しないために、以下の4点は必ず事前に押さえておきましょう。
- 設立時にまとまった初期費用がかかる
- 赤字でも毎年「法人住民税の均等割」の税金がかかる
- 事務手続きの手間と税理士への報酬費用が増える
- 物件を売却する際の税率が高くなるケースがある
1. 設立時にまとまった初期費用がかかる
法人を立ち上げる際は、登録免許税や定款認証の手数料といった費用が必要です。
- 株式会社の場合: 約25万円〜
- 合同会社の場合: 約10万円〜
これらに加え、手続きを司法書士などの専門家に依頼する場合は、別途数万円の代行報酬が発生するのが一般的です。
2. 赤字でも毎年「法人住民税の均等割」の
税金がかかる
個人事業主の場合、赤字の年は所得税や住民税はかかりません。しかし法人の場合は異なります。
法人が納付する「法人住民税」には、利益に応じて増える「法人税割」と、会社の規模に応じて固定でかかる「均等割」の2つがあります。
黒字の年は両方がかかりますが、たとえ赤字の年であっても、固定費である「均等割」は免除されません。
そのため、法人が存在しているだけで、最低でも年間約7万円の税金が毎年必ず発生し続ける点は要注意です。
3. 事務手続きの手間と「税理士費用」が
増える
法人の決算申告は個人の確定申告と比べて非常に複雑なため、ご自身で行うのは難しいのが実情です。
そのため、多くの場合で税理士に依頼することになりますが、毎月の顧問料や決算申告料などで年間30万〜50万円程度のランニングコストが継続的に発生します。
前述の税金と合わせると、維持費だけで一定の負担になることは理解しておきましょう。
4. 物件を売却する際の税率が高くなる
ケースがある
不動産を売却して利益(譲渡益)が出た際のルールが、個人と法人では大きく異なります。
個人の場合
5年を超えて所有した物件を売却すると、税率が約20%に軽減される特例(長期譲渡所得)があります。
法人の場合
個人のような期間による軽減措置がありません。
売却益も通常の事業利益と合算されて法人税が課せられるため、個人よりも税率が高くなる可能性があります。
そのため、目先の家賃収入に対する節税だけでなく、「将来いつ売るか」も含めたトータルでのシミュレーションが不可欠となります。
個人か法人か|
最適な運用スタイルをチェック
ここまでのメリット・デメリットを踏まえ、個人事業主と法人の違いを整理しましょう。ご自身の現在の状況、そして「将来の目標」と照らし合わせてみてください。
| 比較項目 | 個人 | 法人 |
|---|---|---|
| 税率の仕組み | 累進課税 | ほぼ一定(20~30%台) |
| 赤字の繰越期間 | 最長3年 | 最長10年 |
| 経費 | 計上に制限あり | 比較的柔軟 |
| 融資 | 個人の与信枠に 限界あり |
実績次第で拡大可能 |
| 設立・初期費用 | 物件価格の 8~10%程度 |
左記に加えて +10~25万円以上 |
| 維持費・事務負担 | 比較的低い | 高い |
| 物件売却時の税率 | 5年超所有で 軽減あり |
軽減なし (法人税に合算) |
投資スタイルによって、どちらが有利になるか分かれます。以下のチェックリストで、ご自身がどちらに当てはまるか確認してみましょう。
- 年間の課税所得が900万円未満の方
- 今の物件の運用が中心で、これ以上の規模拡大を考えていない方
- 法人の設立費用や、毎月の税理士報酬といった追加のコストを抑えたい方
- 所有物件を売却して利益を得ることを考えている方
- 個人の課税所得が900万円を超えている方
- 積極的に一棟アパート・マンションを買い増し、資産形成を加速させたい方
- 家族への給与分散や役員社宅の活用などで、手元の現金を最大化したい方
- 将来の相続を見据え、親族への資産移転をスムーズに行いたい方
現在の収益状況だけでなく、「今後どのように資産を築いていきたいか」というビジョンによって、最適な選択肢は変わってきます。
弊社「日本不動産投資パートナーズ」では、お客様の状況に合わせたポートフォリオの設計を行い、最適なプランをご提案いたします。
迷われた際はぜひ一度、弊社の無料相談をご利用ください。
不動産投資の法人化に関する
よくある質問
さらに、税理士へ業務を依頼する場合、顧問料などもかかるため、赤字であっても年間約30〜50万円程度のランニングコストは継続して発生すると見込んでおく必要があります。
そのため、不動産取得税や登録免許税といった税金や手数料が新たに発生してしまうのです。 既存の物件は個人のまま運用し、「新しく購入する物件から法人名義にする」という方法をとるのが、コストを抑えられることもあります。
まとめ
この記事では、不動産投資を法人化するタイミングや、メリット・デメリットについてご紹介いたしました。最後に、重要なポイントを振り返りましょう。
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法人化の目安は「課税所得900万円以上」課税所得900万円以上は、個人の累進課税と法人の実効税率が逆転し、法人の方が税負担が軽くなるタイミングです。 詳しくは 不動産投資を法人化する基準は? をご覧ください。
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メリットは「手残りの最大化」と「融資の選択肢」税率が一定に抑えられ、経費にできる範囲も広がるため、手元に残る現金を増やしやすくなります。また、法人として実績を作ることで、将来的に融資の幅が広がります。 詳しくは 不動産投資を法人化する5つのメリット をご覧ください。
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デメリットは「維持コスト」と「出口戦略」設立時の初期費用に加え、年間約50万円程度の固定費が継続して発生します。また、個人と異なり、物件を売却する際の長期所有による税率軽減がありません。 詳しくは 法人化の4つのデメリット をご覧ください。
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自分の目標に合わせた運用スタイルの選択を現在の規模を維持してコストを抑えたい場合は個人のままが適していますが、今後一棟アパートやマンションを積極的に買い増し、本格的な資産形成を目指す方には法人化が向いています。 詳しくは 最適な運用スタイルをチェック をご覧ください。
不動産投資を法人化して行うか否かは、今後の戦略や収益に直結する大きな決断です。
法人化の基準は、一般的に「課税所得900万円以上」がひとつの目安となりますが、現在の収益状況、ご家族の構成、そして今後の投資目標によって、法人化による効果は大きく変わります。
- 自分の所得だと、今すぐ法人化したほうが本当にお得なのか?
- 法人化した場合、ランニングコストを引いて手残りはいくらになるのか?
- 次の一棟を買うとしたら、個人と法人どちらで進めるべきか?
このような疑問や不安をお持ちの方は、一人で悩まず、ぜひ弊社「日本不動産投資パートナーズ」に一度ご相談ください。
不動産投資の専門家が、お客様の現在の状況を分析し、客観的なシミュレーションをもとに「最適な投資戦略」をご提案いたします。
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- 国税庁「No.2260 所得税の税率」
- 国税庁「No.5759 法人税の税率」
- 国税庁「地方法人税の税率の改正のお知らせ」
- 総務省「令和7年度 法人住民税・法人事業税 税率一覧表」
